観光産業の収益・生産性向上
複数システム導入による業務効率化と収益最大化の同時実現
株式会社一の湯
神奈川県 箱根町
- 課題
- 慢性的な人手不足や宿泊需要変動への対応力不足から、限られた人員での安定運営と収益向上に向けたデジタル化・自動化の推進が急務であった。
- 導入・支援による効果
- 予約時の事前決済比率が5%未満から55%へ向上した。
チェックアウト時の現地精算時間が1組あたり3〜5分短縮された。
各店舗での電話応対時間を1日約1時間(年間約365時間)削減した。
客観的データに基づいたダイナミックプライシングが実行可能となった。
- 導入ソリューション
- 宿泊管理・業務の自動化(ダイナリューション) / 顧客データの一元管理・パーソナライズ販促(tripla) / 需要予測・価格最適化 / 電話一次対応の自動化・内線化
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実施年度
2025年度
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事業者名
株式会社一の湯
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エリア
神奈川県 箱根町
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参考URL
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客観的事実に基づいた経営を行うための数値コントロールを実現
抱えていた課題について教えてください
慢性的な人手不足に加え、インバウンドの回復などによる宿泊需要の変動への対応力不足が課題でした。また、コロナ禍前からIT投資を進めたいと計画していましたが、まとまった資金が必要なため、数年間ストップしてしまっている状態でした。
具体的にどのような悩みがありましたか
店舗への電話対応による業務負荷の集中です。住所や駐車場の確認など細々とした電話が夕食のピーク時などに重なると、レストランの人員が削られ現場のオペレーションが乱れるという慢性的な問題がありました。
また、価格設定を客観的事実に基づいて行うことが不得意で、繁忙期でも適正な値上げに二の足を踏み、どんぶり勘定になっていた点も悩みでした。
今回の補助事業を知ったきっかけと申請の経緯を教えてください
2025年4月に参加した箱根DMOでの説明会がきっかけです。もともとは人材不足に関する補助金の話を聞きに行ったのですが、最後に観光DXの補助金の説明があり、「すごいチャンスがやってきた、積極的にチャレンジするべき時だ」と思い応募を決めました
導入したソリューションはどのようなものですか
主に4つあります。宿泊管理の中核となる「PMS」、予約・顧客管理基盤となる「CRM・Bot連携型宿泊予約システム」、AIが需要を予測し価格を最適化する「需要予測システム(レベニューマネジメント)」、そして自動応答や内線化を実現する「クラウド型PBX」です。

AIが需要を予測し価格を最適化する需要予測システム(レベニューマネジメント)を導入
補助金申請にあたって苦労した点はありますか
約2ヶ月という短い期間で複数システムの仕様整理やベンダー選定、見積もり、商談を終わらせるスピード感が求められた点です。要件定義を優先順位別に整理し、「必須」と「将来対応」を明確化させることで意思決定のスピードアップを図りました。
ソリューション導入にあたって苦労した点はありますか
旅館の営業や予約受付を止めず、現場に迷惑をかけないように既存システムからシームレスに移行する必要があった点です。予約の入りが少ない深夜から早朝の時間を狙い、数日間でデータ移行を完了させる緻密な作戦が必要でした。また、テスト環境での事前検証や、変更点に絞ったマニュアル作成などを行って本稼働に臨みました。
現場の負担はどのように変わりましたか
クラウド型PBXにより電話の一次対応が自動化され、各店舗で1日約1時間、年間で約365時間の労働時間を削減できました。さらに、予約システム刷新で事前クレジットカード決済の比率が5%未満から55%に大幅向上し、チェックアウト時の現地精算にかかる時間が1組あたり3〜5分短縮されました。
現場のストレスが減り、混雑が緩和したことで、付加価値の高い接客に振り向ける余裕が生まれています。

自動応答や内線化を実現する「クラウド型PBX」
観光DXの推進においてポイントを教えてください
課題感を抱えているなら、客観的事実に基づいた経営を行うための「数値コントロール」が絶対に必要です。そのための最初の一歩としてPMSなどのシステム導入が不可欠だと考えます。

コントロール表サンプル
また、システムを入れる前に電子マニュアルなどを整備し、業務を標準化・単純化しておくことも、デジタル活用の効果を最大化する上で重要です。
最後に補助金活用を振り返っていかがでしたか
長年の課題だったリピーター対策のためのデータ取得や、需要予測データに基づくダイナミックプライシングを実行できる基盤が整いました。まだ導入したばかりで効果測定中の部分もありますが、これを継続していけば1年間でしっかりとした効果が出るだろうと実感しています。