観光産業の収益・生産性向上

デジタル化による業務効率化とホスピタリティの向上

株式会社呉竹荘ホテルズ

静岡県浜松市

課題
紙の宿泊者管理や物理鍵の運用、電話対応といった作業に忙殺され、本来の接客やホスピタリティに時間を割けず、顧客満足度の向上が困難であった。
導入・支援による効果
自動チェックイン機の利用率が80%を超え、チェックイン業務にかかる人員や顧客の待ち時間を大幅に削減した。
ビジネス電話システムの導入により電話対応の約3割を自動化した。
スタッフがロビーに出てきめ細やかな顧客対応を行えるようになった。
導入ソリューション
チェックイン業務の自動化・効率化 / 電話対応の自動化とデータ化(IVRy) / 入退室管理の厳格化・省力化

自動チェックイン機で宿泊者情報を電子化

抱えていた課題について教えてください

宿泊者台帳の管理を紙への記入で行っており、情報の登録に多くの人的リソースを割いていました。顧客情報が紙媒体での保管であったため、正確な管理や分析が困難でした。

また、従来のシリンダーキーは鍵紛失時にシリンダーごと交換が必要で多大な費用と労力を要していたほか、客室への入退室記録も取れていませんでした。さらに、電話対応においては録音機能がなく、着信履歴の長期保存や検索ができないことも課題でした。

具体的にどのような悩みがありましたか

私たちはホスピタリティ産業であり、人と人とのつながりや接客を突き詰めていくことが重要です。しかし、記帳や電話対応といった「作業」の部分にスタッフが忙殺され、本来注力すべきホスピタリティの提供に十分な時間を割けない状況に悩んでいました。

また、業界全体の構造的な問題として、従業員の給与水準や待遇面をいかに引き上げるかという経営課題も抱えていました。

今回の補助事業を知ったきっかけと申請の経緯を教えてください

観光庁の公募情報は定期的にチェックしており、2025年4月18日の情報で本事業を知りました。昨今の情勢を考え、効率的に労働生産性を上げる取り組みの一環として、補助金を活用してシステムの導入を進めたいと考え申請に至りました。

導入したソリューションはどのようなものですか

主に3つのソリューションを導入しました。1つ目は既存の宿泊管理システム(PMS)と連動する「自動チェックイン機」で、宿泊者情報を電子化します。2つ目は「ビジネス電話システム(IVR)」で、自動音声による応答や録音、AIによる文字起こし機能を備えています。3つ目は「カードロック」で、客室への入退室を記録し、鍵管理の労力とコストを削減するものです。

ビジネス電話システム(IVR)で自動音声による応答や録音が可能に


カードロックで客室への入退室を記録

ソリューション導入にあたって苦労した点はありますか

本部の考えと現場の状況にはどうしても乖離があり、現場には新しいシステムに対する抵抗感がありました。そのため、現場をよく知るシステム担当者が直接各店舗へ足を運び、本部の意図を説明しながら根気よくコミュニケーションをとることで解決を図りました。また、自動チェックイン機は購入してすぐ使えるわけではなく、電源やインターネットなどの設置工事、配置の調整などが必要だった点も苦労しました。

現場の負担はどのように変わりましたか

自動チェックイン機の利用率は80%を超え、チェックイン業務にかかる人員やお客様の待ち時間を大幅に削減できました。スタッフも入力や領収書発行などの作業から解放されています。また、電話システムにより電話対応の約3割が自動化されました。結果として、スタッフがフロントカウンターの中からロビーに出て、自動チェックイン機のご案内を行うなど、より広い視野できめ細やかな顧客対応ができるようになりました。

自動チェックイン機 導入イメージ

観光DXの推進においてポイントを教えてください

DX化の目的は単に「人を減らす(省人化する)」ことではないと現場にしっかりと伝えることです。業務や「作業」を減らし、人にしかできない接客やホスピタリティにより力を入れていくことが最終的なゴールです。従業員がITに使われるのではなく、ITを用いてお客様へ最高のホスピタリティを提供することが重要だと考えています。

最後に補助金活用を振り返っていかがでしたか

システムの導入には、機器の購入費だけでなく、設置にかかる工事費やその後の運用にかかるランニングコストも重要になります。本事業では、機器購入だけでなく、そうした工事やランニングコストに関しても補助をいただけたことで、社内のDX化をより強く推進することができました。大変助かりました。

事例一覧へ戻る